2021年8月25日水曜日

十七)聾唖は入ソ以来の偽装であった「哀しき夕陽、作者 能瀬敏夫」より

 





十七)聾唖は入ソ以来の偽装であった「哀しき夕陽、作者 能瀬敏夫」より

二十三年に入ると、何度か手を振りながら遠ざかるダモイ( 帰国) 列車を見るようになった。その数が日毎に多くなり、ナチャーニックもあからさまに「あれはダモイ( 帰国)
だ」と明言するようになった。
 勿論直ぐには信じ難いのだが、信じたい気持ちは日毎に増し、作業後の食事までの一刻は互いに今日の列車目撃談が交錯した。
 あれは本当にダモイ列車だろうか、が、ダモイ列車らしい、に変わり、ダモイ列車だ、と、確信するようになった。
 そんな頃突然「炊事係が自己批判したらしい」と噂が流れた。
 要するに、シベリアに入って以来、聾唖者として扱われていた炊事係が、実は偽装だったことを、民主化運動の流れの中で、自ら告白せざるを得なかった、というのである。
そんなことが可能なものであろうか。
政治部将校を含めて、彼の回りの全ての者が、彼を聾唖者と決めてその対応をしてきたはずである。
然し、云われてみれば、頷けることが無いでもなかった。
例えば宿舎毎に行う夜間の防火訓練、「火災の合図があった場合、各人は夫々毛布を持って舎前に集合せよ」
 その夜寝込を襲った突然の合図に飛び出してみると、既に隣の宿舎の例の炊事係が毛布を抱えて立っている。
 その時は聾唖者の感の鋭さに驚いたものだが、本当に感で毛布を握って飛び出したのであろうか、言われてみると、色々と思い当たることが無いでもなかった。
 彼が自己批判をして自ら告白したというのも人伝に聞いた話で、本当に自己批判だったのだろうか、と、私の中に疑問が残った。
 兎に角この事実を知ったとき、彼は既にこのラーゲル内には居なかったから、その後の彼の行方を想像すると、彼の真の人柄を感じ取っていただけに暗澹たる思いになった。

(シベリアへの抑留、極寒の地での凍土と病いとの戦い。生き抜いた者達へ渡された
「帰国の途」という切符とは・・・チチハル陸軍病院経理勤務、そして終戦。ハルピン
への移動・・・、病院開設・・・。傷病兵、難民で施設はあふれ、修羅場と化した。
「哀しき夕陽、原作 能瀬敏夫」)

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