【東京の詐欺師】

【東京の詐欺師】

父が旅行から帰ってきて
夕食時にこんなことを話し出した。

俺の友達、今回の旅行で、
東京で、長距離バスを待っているときに、
バス停の近くでサギに有ったのだって・・・と

ちょっとトイレに行ってくると言って離れて、
なかなか帰ってこないから
遅いなぁ～～～　　
変だなぁぁぁ
と思っていたら
その友人が、ニコニコ　笑顔で帰ってきたという。
そして、
「さっき小学生時代の同級生に会っちゃったよ」と
驚き笑顔で語ったというのだ。
父が、
それも変だなぁぁぁと思っていたら
旅行に同行していた若い人が
「それは今、東京で流行のサギです　ょ」と
言ったのだと言う。

「東京駅付近では、よくあるサギの手口だから
注意した方が、良いです　ょ」と
教えてもらったそうである。

それでも被害者本人は、
「僕の昔、居た場所や他人じゃ知らないことまで
知っていたから友達だ。」と言って、自慢げに
詐欺師から預かったというロレックスの時計(小道具)を
見せたのだと言うのだ。

詐欺の方法は、こうである。
年齢は、６０歳代後半からの年配者がターゲットと
されるそうである。
もちろん詐欺師も同等の年配者だそうである。
(年金だけじゃ食べて行けずに手を染めて
いるのかもしれない？)
詐欺師は、
「やぁぁぁ」「しさしぶり」と
偶然を装い、如何にも昔の友人に出会ったように
近づいて来るのだという。
そして、
被害者が「誰かなぁぁぁ」と考えていると
空かさず「俺だよ　俺・・・」と畳み掛ける。
高齢者だけに、記憶を探るのに時間が掛かる
其処に、
「小学生時代同級生だった○○○○だよ」と
如何にも何処にも有りそうな、自分の名前を
告げてくるのだと言う。
すると、被害者は同調してしまう。
「あぁぁぁ　○○○○君　」ってな感じで！
そして詐欺師が
「えーと」「えーと」「たしか・・・」
「あの小学校で一緒だったよなぁ！！」「えーと」と
如何にも記憶の糸でも手繰り寄せるような
仕草をするのだという。
すると、
被害者は、先に△△△△小学校か？」と
小学校名を答えてしまっているのだという。

同じような要領で被害者の名前を
「えーと」「えーと」と考えているフリをしていると
被害者もその気に為って又、名前までも
教えてしまうそうである。
誘導尋問にも似た手口に、まんまと引っかかって
プライベートを
一つ、また一つと教えてしまうそうである。
俺俺詐欺のリニューアルバンとでもいうのだろうか？

同じ要領で幾つか会話して
「そう昔、あそこ、あそこ、あそこに住んで
いたよねー」と懐かしそうに語ると
会話を弾み、詐欺師の本質に入っていくのだと言う。

詐欺師は、こう切り出すと言う
今、持ち合わせが無くて困っているのだよ
（腕の時計を外し）
「これ３０万円以上するロレックスだけど
これでしばらくお金を貸してくれないか！」と言って
時計と名前、電話番号や住所の連絡先が書かれた
紙が被害者に渡される。
被害者は信用しきって１万円か！２万円か！
それ以上を渡してしまうのだと言う。
勿論、後で連絡先に連絡しても連絡は取れる和気は
無い。
彼も、電話を入れ連絡が取れないことに変だと感じた
らしいが、まさかそんなに良識ある高年齢者がそんな
ことをやると認めたく無い彼は・・・
「おかしいなぁぁぁ」「おかしいなぁぁぁ」と
ただ　ただ　時計を見詰め寂しげに呟いていたのだと
言う。
そして、自分が語ってしまったことを忘れ
「プライベートなことも彼は、知っていたのに！！」と
錯覚に最後まで落居っていたと言う。

もしかしたら戦争も経験しているかもしれない
同年代の苦労を共に、食の少ない時代の釜の飯を
食べてきた世代の・・・
そんな思い入れに痛痛しく辛いできごとだったのかも
しれないと私は思った。
そして、このあまりにもリアルな話し、もしかしたら
私の父が引っかかったのではないかと少し思う今である。

主よ　この罪人を赦し、主の御名にお救い下さい。
一日も早く、彼方様にお会いできますように
ハレルヤ　エーメン
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